トレチノインクリームの使用上の注意

トレチノインはビタミンAの誘導体で、難治性のニキビの治療薬として米国で認可された後、シワなどの紫外線による皮膚の老化にも効果が認められ多くの患者さんに皮膚の若返り治療薬として使用されています。日本では正式に認可されていないのが現状ですが、当院では患者さんの症状に応じて独自のものを処方いたします。

現在、日本でも一部の高価格帯の化粧品にシワに効果があるとしてレチノールという成分が配合されているものがあります。しかしレチノールはトレチノインの約100分の1の生理作用しかないため治療効果を認めるまでには至っておりません。

 

トレチノインの皮膚に対する作用

  1. 角質をはがす。
  2. 表皮の細胞分裂を促進し、皮膚の再生を促す。
  3. 皮脂腺の働きを抑え、皮脂の分泌を抑える。
  4. 真皮のコラーゲンの生成を促し、皮膚のタルミや小ジワを改善する。
  5. 表皮内でヒアルロン酸などの分泌を高め、皮膚をみずみずしく保つ。

 

外用の仕方

  1. 刺激の少ない石鹸をたっぷり泡立てて優しくなでるように洗います。また洗い流すときはシャワーをかけるか、皮膚をこすらずにパシャパシャとぬるま湯をかけてすすいで下さい。皮膚を強くこすらないことが大切です。
  2. 洗顔直後は角質層が水分を多く含んでいるため薬剤の浸透性が良くなり、効きすぎることがあります。そのため、洗顔後20分程度待ってから塗ることをおすすめします。しかし、事情により20分以上待てない場合は洗顔後、化粧水、保湿クリーム等を塗った上からトレチノインクリームを重ね塗りして下さい。
  3. トレチノインクリームを塗る部分は顔全体ではありません。症状により塗り方は異なりますが、例えば老人性のシミの場合は綿棒にごく少量(マッチ棒の先端の部分程度)をとり、シミの部分からはみださないように塗ります。
  4. 症状に応じて他の薬剤を併用する場合があります。
  5. 外用は基本的には夜のみとなりますが、医師の指示に従ってください。

 

 

注意事項

  1. 使用当初は塗っても全く反応が見られないことも多いのですが、数日後から塗った部分が赤くなり、角質が垢のようにポロポロ剥けてくることもあります。そして刺激に対してさらに敏感になります。このような反応はアレルギー性の皮膚炎ではなく、トレチノインクリームが効果を発揮していることの目安です。
  2. 欧米人では使用当初から毎日外用する場合もありますが、東洋人の場合は反応が強く出る場合もあるので、皮膚のタイプによっては、使用当初は3日に1回夜のみの外用を2週間続け、次に2日に1回夜のみの外用を2週間続けます。そして問題なければ毎日1回夜のみの外用に切り替えていくなどの方法を指示する場合もあります。
  3. トレチノインクリームを使用中は皮膚の角質がはがれてきますので、一時的に皮膚の乾燥がひどくなったり、刺激に対して敏感になります。そのためお肌に合う保湿剤や日焼け止めクリーム等を併用して下さい。
  4. トレチノインクリームの治療効果には個人差があります。使用中に刺激が強くなりすぎたり、反対に反応が全く見られない場合は医師にご相談下さい。
  5. トレチノインは動物実験では大量投与によって奇形を生じることがあります。人での奇形発生は全世界でこれまでにありませんが、念のため治療中は避妊を行って下さい。
  6. トレチノインクリームは医師の診断により処方する薬剤のため、自己判断で知人や友人にはお譲りにならないで下さい。

 

保管方法

トレチノインクリームは一般の薬剤に比べて分解が非常に早いため、必ず冷凍庫にて保管して下さい。外出時や旅行にはお持ちにならないで下さい。