
性病について
● クラミジア感染症
(原因)
性行為、オーラルセックスで性器、特に子宮頸部や咽頭(のど)に感染します。最近ではオーラルセックスが広まっているため、子宮頸部の感染はなくても、咽頭クラミジアの感染が大変増えてきています。
(症状)咽頭クラミジアの場合
程度は様々ですが、喉の痛みを自覚します。風邪かな?と思う程度のこともありますが、発熱などの全身症状はほとんどありません。
男性では、尿道炎、排尿時や射精時に膿が出ることや痛みが出ることがあります。
(検査方法)
子宮頚部へ感染を疑う場合、子宮頚部を綿棒でこすりますが、ほとんど痛みはありません。出血しているときは、菌が見つからないことがあるため、生理中、不正出血しているときは検査は向いていません。
咽頭炎を疑う場合は、うがいした生理食塩水で検査します。
(治療方法と治療効果判定)
アジスロマイシン(ジスロマック®)という内服薬が第一選択です。マクロライドという種類に含まれる抗生物質のため、妊娠中も服用することができます。ジスロマックは、一度に250mg錠を4錠内服しなければなりませんが、1回の内服で済みます。
内服後3週間後に再検査が必要です。
● 淋菌感染症
淋菌感染症(淋病)は、淋菌による感染です。
(症状)
クラミジア感染に似て、初期はおりものの変化、異常を自覚することがあり、進行すると下腹部の痛みとなります。
(検査方法)
クラミジアと同様、子宮頚部への感染を疑う場合、内診で子宮頚部を綿棒でこすりますが、ほとんど痛みはありません。クラミジアと同時に検査することが多いです。出血しているときは、菌が見つからないことがあるため、生理中、不正出血をしているときは、検査は向いていません。
(治療方法と治療効果判定)
現在最も効果のある抗生物質は、セフトリアキソン(ロセフィン®など)ですが、点滴で用います。そのため治療には、院内で30~60分の時間を要しますが1回のみです。
クラミジアと同様、3週間後に再検査が必要です。
● 性器ヘルペス
(原因)
ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)による感染症で、一度罹ると症状が改善しても生涯繰り返し再発することがあります。
(検査方法)
病変を綿棒でぬぐい、直接ヘルペスウイルスがいるか検査します。また血液検査でウイルスの抗体をみる場合もあります。
(治療方法と治療効果判定)
ヘルペスは、ウイルスのため、抗ウイルス剤を投与します。
● 尖圭コンジローマ
(原因)
コンジローマは、男女ともにHPVを持つパートナーとの性交の際に生じた微細な傷から、HPVが体内に感染するとされています。
(治療方法と治療効果判定)
治療は「ベセルナクリーム5%」が第一選択となります。使用方法は、週に3日、例えば、月・水・金のように曜日を決めてご自分で病変に塗るだけです。ただし、6~10時間後くらいに洗い流さなければならないため、寝る前に使って起きた時に洗い流す、という方法がおすすめです。ベセルナクリームは、最大6週間使用し、それでも治らない場合は、他の治療法を選択します。
他の治療法は、手術療法、外科的切除、電気焼灼、レーザー蒸散 等
● トリコモナス膣炎
トリコモナスは原虫の一種です。
(検査方法)
顕微鏡でトリコモナスを見つけたり、培養検査(内診で膣内を綿棒でこすります)を行います。
(治療方法と治療効果判定)
トリコモナスには、メトロニダゾール(フラジール®)やチニダゾールが有効で、妊娠していない女性では、内服と、膣錠を併用します。
● 梅毒
特に若年の女性に増えていることが問題となっています。また、HIV感染との合併感染が増えていますので、梅毒陽性の方はHIVなどのSTI検査も受けましょう。
(検査方法)
血液検査で梅毒の反応を検査します。
(治療法と治療効果判定)
抗生物質であるサワシリン®を服用します。治療効果が見られるまで、最低でも4週間、長期の場合、半年くらい服用しなければならないこともあります。内服後に再検査を行い、治療効果を判定することが必要です。