
経口イソトレチノイン(アクネトレント)

ロアキュタンやアキュテインが有名ですが高額なため、当院ではジェネリックのアクネトレントを採用しております。
イソトレチノインは海外で重症のにきび治療に広く用いられている薬剤で97~98%の患者さんで改善がみられるという報告があります。
イソトレチノインは皮膚のターンオーバーを促進し角質を薄くするとともに、皮脂の分泌を減少させ重症のにきびを改善させます。
通常6ヶ月で1クール終了となります。
効果が非常に高く中止後もリバウンドを起こしにくいといわれています。
重大な副作用を生じることがあるため、リスクを十分に理解できる患者さんにのみ処方いたします。
イソトレチノインの特徴
何をしても治らなかったにきびでも半年間の内服でほとんどの方が改善します。
内服終了後も長期間効果が持続します。
イソトレチノインの内服ができない方
- 妊娠中、妊娠を希望している方
- 授乳中の方
- 15歳未満の方や成長期で身長が伸びている方
- ディフェリンゲル、ベピオゲル、トレチノイン製剤、ビタミンA製剤でアレルギーを起こしたことのある方
- パラベン、大豆、ピーナッツアレルギーのある方
- テトラサイクリン系の抗生剤(ミノマイシン、ビブラマイシン)内服中の方
- 抗てんかん薬(フェニトイン)内服中の方
- ステロイド使用中の方
- うつ病、その他の精神疾患で治療中の方
- 肝機能障害のある方
- 高脂血症のある方
- ビタミンA過剰症の方
イソトレチノインの注意事項
効果が高い分、多くの注意事項がありますので事前にご確認ください。
胎児の催奇形性があるため、妊娠されている方、近いうち妊娠を希望されている方は内服できません。
女性は内服中と内服終了後6ヶ月間は避妊が必要です。
男性もパートナーを妊娠させないようにしてください。(内服中と内服終了後1ヶ月間は避妊が必要です)
内服中および内服終了後6ヶ月間は献血ができません。
授乳中および内服終了後1ヶ月間は授乳ができません。ほぼ必発するのが全身の強い乾燥で目・鼻・唇の乾燥や手足の皮むけが目立ちます。しっかりと保湿を行ってください。
内服中および内服終了後6ヶ月は日焼けをしやすいためUVケアをしっかり行ってください。
内服中および内服終了後6ヶ月は脱毛などのレーザーや光の治療は行わないでください。
飲み忘れがあった場合その分は内服せず、次の服用時間に通常量を内服します。(絶対に一度に2回分を内服しないでください)
未成年の方は親権者同意書が必要です。
イソトレチノインの副作用
- 粘膜の乾燥(ドライアイ、眼瞼炎、結膜炎、鼻出血、口角炎、口唇炎)
- 皮膚の乾燥(皮脂欠乏性湿疹、手足の皮むけ、爪の変形)
- 光過敏症(日焼けをしやすい、レーザーなどで色素沈着しやすい)
- 頭痛
- めまい、吐き気
- 筋肉痛、関節痛
- 髪の毛の脱毛
- 多毛
- 声がれ
- 視覚障害(角膜混濁、夜間視力低下など)
- 聴覚障害(聞こえにくさ、耳鳴りなど)
- 気分障害、うつ傾向
- 肝機能低下、腎機能低下、高脂血症
イソトレチノインの治療の流れ
- 診察で今までのにきびに対する治療歴をうかがいます。保険治療を適切に行ってきたが効果がみられない方のみ治療を開始します。
- 服用の注意点を説明後、治療前の写真撮影と血液検査を行います。
- 内服開始。初めは1日20㎎から開始します。飲み始めると皮脂の減少が実感されると同時に、目・鼻・唇をはじめとした全身の乾燥がでますので、保湿をしっかり行ってください。最初の数週間は一時的ににきびの悪化を感じることもありますが、心配せず服用を続けましょう。
- 服用1ヶ月目。写真撮影と血液検査後お話をうかがいます。早い方で1ヶ月目頃から新しいにきびが減り始めます。
- 服用2ヶ月目。写真撮影と血液検査後お話をうかがいます。通常開始後2~3ヶ月で効果を実感できます。2ヶ月経過しても改善の兆候がみられない場合はイソトレチノイン40㎎に増量することがあります。
- 以後1ヶ月ごとに受診していただき、通常6ヶ月で1クール終了となります(治療効果が弱い場合に8ヶ月まで内服を続けることもあります)。通常イソトレチノインは内服終了後も長期間効果が持続します。
- もしも再発がある場合は最低3ヶ月の休薬をおいて、さらに1クール半年間の内服を行うことも可能です。